
肩・肘の痛み
肩・肘の痛み
年齢を重ねるとともに肩の痛みに困っている方はとても多いです。しかし、多くの方は適切な治療を受けず、放置されていることがあります。特に四十肩・五十肩は診断が難しい疾患です。ただ加齢のせいだと放置せずに、痛みを感じたらまずは当院へご相談ください。
中年以降、とくに50歳を過ぎたころに症状が出現しやすいため五十肩とも呼ばれています。加齢や過労により、肩関節を包む袋(肩関節包)の中で炎症が起こることによって、痛みが生じると考えられています。自然に治癒することもありますが、ときに夜間痛で眠れなくなったり、腕を高く上げることや回すことが困難になったりして日常生活に支障がでてきます。関節が癒着して動かなくなることもあります。急性期は安静と、消炎鎮痛剤の内服や痛み止めの注射で痛みを緩和します。急性期を過ぎてからはホットパックなどの温熱療法、また、拘縮(こうしゅく)予防や筋肉を強化するための運動療法を行います。
野球肩とは、主に野球の投球動作を繰り返すことによって生じる肩関節障害で、野球以外でもテニスのサーブやバレーボールのアタックなど、腕を大きく強く振る動作を繰り返すスポーツで生じることもあります。肩関節を構成している骨や軟骨、筋肉や腱の損傷が原因で起こります。ジュニア期には特有の病態として上腕骨近位骨端線離開(じょうわんこつきんいこったんせんりかい:リトルリーグショルダー)があります。子どもの骨には骨端線という成長軟骨があり、この部分は力学的に強度が弱く、過度に負荷がかかることで損傷します。初期は骨端線が少し広がる程度ですが、進行すると骨頭と呼ばれる部分がずれて骨の変形が起こり、ひどくなると骨折することもあります。診断にはレントゲン検査が必要となります。野球肩の痛みは投げる時に起こり、安静にしていれば痛みません。治療の基本はリハビリを中心とした保存療法で、投球フォームの見直しや体幹トレーニングなど肩以外のコンディションも整えていきます。
肩腱板とは、肩を動かすための筋肉の総称で、棘上筋(きょくじょうきん)、棘下筋(きょくかきん)、小円筋(しょうえんきん)、肩甲下筋(けんこうかきん)という4つの筋肉の集まりをいいます。肩はこれらが協調して動きますが、怪我や使いすぎなどで切れてしまった状態が肩腱板断裂です。転んで手をついたり、肩をぶつけたりして起きた怪我による断裂は、非常に強い痛みが生じるとともに肩が上がりにくくなります。スポーツや使いすぎなどによって自然に起こる断裂は、初期は肩を動かしたときに痛みを感じます。断裂した腱板が擦れることで痛みが生じるため、肩を上げる角度や手の位置によって痛みが出たり出なかったり、といった特徴があります。断裂部分が広がると、肩を動かすたびに痛み、力も入りにくくなります。炎症が起こると肩を動かさなくても常に痛みます。五十肩と症状が似ていますので、鑑別には注意が必要です。
肩腱板は、レントゲンには写らないため超音波検査やMRI検査によって診断します。治療は怪我によって断裂した場合には、基本的に手術や関節鏡(内視鏡)を使って縫合します。自然に断裂した場合は、症状によってリハビリを中心とした保存的治療を行う場合と、手術によって治療する場合があります。
肩関節脱臼は、いわゆる「肩が外れた状態」のことをいいます。外部から強い力を受けることで上腕骨頭(じょうわんこっとう:半球状の関節面)が関節の外に押し出されることで起こります。外傷による肩関節の脱臼は、ラグビー、アメフト、柔道などのコンタクトスポーツで起こりやすく、日常生活でも転倒時に手をついたときなどに起こることもあります。若年の方は、一度脱臼すると癖になりやすく、スポーツ活動ばかりでなく、寝返りのような日常動作でも脱臼が起こりやすくなります。これを「反復性肩関節脱臼」といいます。
脱臼した直後は肩関節に強い痛みが生じ、関節の動きが制限され、全く動かせなくなることもあります。神経を損傷していると、しびれを伴うこともあります。脱臼を整復し損傷部位が修復されれば普通に動かせるようになりますが、その後も日常生活やスポーツ活動において脱臼を繰り返し、そのために活動が制限されるようであれば、手術が必要になることもあります。
肩こりは、首のつけ根から肩や背中にかけて、張り・コリ・痛みといった症状があり、頭痛や吐き気を伴うこともあります。原因には「連続して長時間同じ姿勢をとる」、「首・背中が緊張するような姿勢での作業」、「前かがみ・猫背など姿勢が悪い」、「運動不足」、「精神的なストレス」などが挙げられます。
肩こりは予防が大切です。同じ姿勢を長時間続けない、肩を温めて(蒸しタオルなど)筋肉の血行を良くする、適度な運動や体操をする、入浴で身体を温めてリラックスする、といったことを心がけて、しっかり予防しましょう。ただし、高血圧症、眼疾患、頚椎疾患、耳鼻咽喉疾患、肩関節疾患の随伴症状として起こる肩こりもありますので、肩こりでお悩みや不安があれば気軽にご相談ください。
ハイドロリリースとは、比較的新しい治療法で、筋膜リリースとも呼ばれています。
筋膜リリースは、筋膜とよばれる筋肉を包んでいる膜で、この膜と筋肉がくっついて固まってしまった状態になると、筋肉の動きが悪くなり、痛みやコリの原因となります。
この固まってしまった筋肉と膜を剥がすことを目的とした治療をハイドロリリースといいます。
ハイドロリリースは、超音波検査機(エコー)で注射針を見ながら「生理食塩水」と呼ばれる人体に使える水とわずかな麻酔を痛みがある部分に直接注射して薬を入れていく注射療法です。
固まっていた筋肉と膜が剥がれ、固まっていた筋肉が柔らかくなると、痛みといった症状が改善することが期待されます。
最近では、神経も同じように治療をすることで、痺れも解消できる効果が確認されています。また、この治療法で症状が改善することができれば、痛みの原因を見つけることも期待されます。
メリット
デメリット
股関節は、大腿骨と骨盤のつなぎ目にある関節であり、膝や足首などと同様に、体重を支える重要な部位です。股関節の痛みで、歩く・階段・しゃがむなどの日常的な動作がつらい、スポーツで痛みがあるなど股関節の痛みに悩まれている方も多いと思います。運動不足や肥満、スポーツ外傷、加齢による関節の変形などが原因となることが多いです。そのまま放置していると日常生活などに支障が出る危険性が高くなるので、なるべく早く当院へ相談ください。
肘関節を形成している骨(上腕骨、尺骨、橈骨)の先端は、関節軟骨に覆われており、骨にかかる衝撃を緩和しています。変形性肘関節症は、この関節軟骨がすり減り、壊れることで肘関節が変形していく疾患です。初期は運動や作業など、肘に負荷がかかったときにだけ痛みを感じますが、進行すると着替えや食事などの動作でも痛みを感じるようになります。変形が高度になると、安静時にも痛むようになります。骨と骨がぶつかり合うことで骨のトゲ(骨棘:こつきょく)ができ、肘の屈伸の動きが制限され日常生活動作に支障がでたり、動かそうとすると激痛が走ったりすることもあります。また、肘内側を走行する尺骨神経が圧迫され、小指や環指(薬指)にしびれを感じたり、握力が低下したりする肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)を起こすこともあります。
肉体労働での肘関節の使いすぎによる発症や、野球やテニスなどで肘関節を痛め、のちに50~60歳代になって発症するケースもあります。骨折の治療後に変形することもあります。
急性期の治療は、肘をできるだけ動かさずに安静を保ちます。消炎鎮痛剤の投与や患部を温める温熱療法などの保存的治療が基本となります。保存的治療を行うなかで、痛みの持続や骨の変形が認められ、日常生活に支障を来す場合は、手術治療が検討されます。
上腕骨外側上顆炎は、「テニス肘」や「ゴルフ肘」とも呼ばれています。肘から前腕には、手首を動かしたり、指を曲げたりする筋肉が重なるように存在し、その中の一つに短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)という筋肉があります。テニスなどで同じ動作(主にバックハンドストローク)を何度も繰り返し、過度な負担がかかることにより、この筋肉に亀裂や炎症が生じて痛みが起こると考えられています。また、日常生活の中で毎日包丁を握る、ゴルフでクラブを握るといった握る動作の繰り返しや、パソコンやスマホの操作のしすぎで発症することもあります。
安静時には痛みは少なく、「タオルを絞る」、「ドアノブを回す」といった手首を曲げたりひねったりする動作で、肘や前腕に痛みを感じます。治療では、肘だけでなく手指や手関節部も安静にします。消炎鎮痛剤の投与と装具療法(テニス肘用バンドなど)を併用する保存的療法が基本です。保存的療法により改善が見られない場合は、手術治療が検討されます。
野球肘とは、投球動作の繰り返しによって起こる肘の障害で、肘関節を保護している軟骨や靭帯、筋肉、腱などが損傷する病態の総称です。医学的名称は上腕骨内側上顆炎(じょうわんこつないそくじょうかえん)といいます。肘への負荷が過剰になることが原因で、痛みの部位によって内側型、外側型、後方型に分類されます。
内側型は、肘の内側に過剰な負荷がかかり、靭帯の牽引力によって腱や軟骨が損傷します。代表的な病態には内側側副靱帯損傷(ないそくそくふくじんたいそんしょう)、内側上顆裂離骨折(ないそくじょうかれつりこっせつ)があります。
外側型は、肘の外側にある骨や軟骨が剥がれたり傷んだりすることで炎症や骨折が生じます。代表的な病態には離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)があります。
後方型は、上腕骨後方にある凹んだ部分(肘頭窩:ちゅうとうか)にストレスがかかることで、疲労骨折や骨棘(こつきょく)形成が起こります。代表的な病態には肘頭部疲労骨折(ちゅうとうぶひろうこっせつ)があります。
治療では、投球を一時休止して安静に努めます。痛みが治まってきたら医師の指示のもと、競技への復帰と再発予防の観点からリハビリテーションを行います。
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