
手・指の痛み
手・指の痛み
手の痛みは、手の構造や機能に関わる様々な要因によって引き起こされます。
また、手の痛みの原因は様々で疾患、外傷、炎症、神経障害、筋肉や腱の問題などによって発生することがあります。日常の動作、例えばボタンをはめるなど細かい動作をうまくできなくなった、起床時に手のこわばりを感じる、動かすと痛いなどの症状がある場合には早めに当院へご相談ください。
腱鞘炎(けんしょうえん)は、手の使いすぎによって指や手首の関節などに痛みが生じる疾患です。腱鞘(けんしょう)と、その部分を通過する腱の間で摩擦が起こり、手首や手掌が痛んだり、腫れたりします。安静にして手を使わなければ腫れは引きますが、使い続けると腫れや痛みが強くなります。スポーツや仕事で指を多く使う方によくみられます。
腱鞘炎によって腱鞘が狭くなったり、腱が腫れたりすると、曲げた指を伸ばそうとした時にカクンとばねのように跳ねることがあります。この症状を「ばね指」と呼びます。母指、中指、環指(薬指)によくみられます。腱鞘炎(ばね指)の治療は、局所の安静、投薬、腱鞘内ステロイド注射などの保存的療法が行われます。保存的加療で軽快しない場合は手術を行います。
手根管症候群とは、手首の「手根管」という狭いトンネル内で正中神経が圧迫されることにより、手のしびれや痛みを引き起こす疾患です。特に、親指、人差し指、中指、薬指の一部に症状が現れ、放置すると手の筋力低下につながることがあります。
手根管症候群の主な症状として下記のような症状が主に見られます。
症状の進行度によって治療が異なりますが、手首の安静・固定、薬物療法、リハビリテーションによる負担軽減が行われますが、重度の場合には手術による神経圧迫の解除が必要となる場合がありますので、手のしびれや痛みが続く場合には早めに受診しましょう。
肘部管症候群は、肘の内側から小指と環指尺側にかけて痺れや痛み・不快感を生じます。
進行すると手の筋肉が痩せてしまい、握力も低下していきます。
指を伸ばせなくなったり、閉じたり開いたりもできなくなるので、細かい作業が上手くできなくなります。
関節リウマチは膠原病の中で最も多い疾患です。免疫の異常により関節を包む滑膜に炎症が起こり、それが増殖し、骨や軟骨を破壊します。放置すると関節が破壊され、日常生活に支障をきたすこともあります。主な症状は、関節の痛み、腫れ、朝のこわばりなどです。手足の指、手首に症状を認めることが多いですが、肘、肩、膝、足首などにもみられます。また、全身倦怠感や微熱、食欲低下などの全身症状や、皮膚(皮下結節など)、眼、肺など、関節以外の症状が出ることもあります。
近年、関節リウマチの治療は大きく進歩しており、骨および軟骨の破壊を積極的に抑える薬としてメトトレキサート、さらに骨破壊を強力に抑制する生物学的製剤やJAK阻害が導入され、寛解状態を目指せるようになっています。関節リウマチは早期の診断・治療がとても重要です。少しでも気になる症状があれば、ぜひ一度受診ください。
ガングリオンとは、良性の腫瘤でゼリー状のような物質が詰まったものです。ガングリオンは関節を包んでいる関節包という組織や、腱を包んでいる腱鞘という組織が損傷することが原因で生じます。関節は身体の動きを滑らかにするために、関節液という水分で満たされており損傷することで袋状ができます。その袋の中に関節液が流れ、この袋に溜まったものがガングリオンです。ガングリオンの多くは手首の周りにできると言われていますが、中には骨や筋肉、神経にも稀にできることがあります。
良性の腫瘤ですが、ガングリオンの大きさが大きくなると、神経などを圧迫することで痛みや手のしびれが生じることがありますので、放置せず早めに受診ください。
母指(親指)の付け根にはCM関節と呼ばれる小さな関節があり、この関節は「物を掴む」ことや「握る」という動作が可能です。親指に力が必要な作業(ハサミを使用する時に痛みが生じる、親指の付け根が痛い・腫れている等)の際に痛みが生じ気づくことが多いです。
母指CM関節症は、女性に多く特に更年期以降に発症しやすく、原因として、加齢による関節軟骨のすり減りや女性ホルモンの減少、日々の生活での親指の負担が蓄積することが関係していると言われています。基本的に、痛みや腫れを生じた時は、親指の付け根をできるかぎり休めて負荷を与えないことがとても大切です。痛みや腫れが強く日常生活に支障をきたす場合は、サポーター装着や、ステロイド注射、手術をすることがあります。しばらく安静していても症状が良くならない場合は、我慢せずできるかぎり早めに受診・治療を行うことがとても大切です。
TFCC(三角線維軟骨複合体)は手首の小指側の位置にあり、2つの骨(橈骨と尺骨)の間を結んでいる靭帯や腱、軟骨などの軟部組織のことを言います。手首の安定性を保つために重要な役割を果たしています。スポーツや事故での手首の過剰な回転や衝撃や、手首の反復的な使いすぎ、高齢者の場合、自然な摩耗や退化によるものが原因となります。主な症状として、手首の尺側(小指側)に痛みや、手首を動かすときの違和感やこわばりがあります。サポーターやギプス、理学療法、リハビリなど保存的加療を行いますが、改善しない場合は手術でTFCCの縫合や再建を行います。
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