
足の痛み
足の痛み
足や足先、足の裏などの下半身に生じる痛みやしびれは、血行不良や神経の異常など様々な原因があります。一時的な症状であれば心配ないことも多いですが、頸椎や腰椎の病気が原因の場合もあります。痛みが続くようであれば、早めに当院へご相談ください。
捻挫とは、関節に外力がかかり靱帯や腱などの軟部組織や軟骨が損傷することをいいます。X線(レントゲン)検査で、骨折や脱臼などの異常が認められない関節の怪我の多くは、捻挫という診断になります。捻挫は全身のあらゆる関節部位で起こりますが、最も多くみられるのが足関節(足首)です。走っている最中の急な方向転換や転倒、交通事故や段差の昇降時の踏み外しなど、きっかけは様々です。主な症状は、患部の腫れと痛みで、靱帯の損傷が大きいほど強くなる傾向にあります。皮下や関節内に出血や熱感などを伴うこともあります。
典型的な足関節の捻挫は、足首を内側にひねることによって生じる足関節内反捻挫です。足関節の外側(外くるぶしの付近)にある前距腓靱帯(ぜんきょひじんたい)が、引き伸ばされたり、一部が切れたりすることで起こります。靭帯の損傷の程度には1度から3度までの分類があります。1度捻挫(軽症)は、靭帯が伸びたり、ごく一部が断裂したりする程度の損傷で、軽度の腫れと圧痛はありますが、不安定性(関節のぐらつき)はありません。2度捻挫(中等症)は、靭帯の断裂が不完全で関節の不安定性はありませんが、広い範囲の腫れと圧痛があります。3度捻挫(重症)は、靭帯が完全に断裂し、さらに強い腫れと圧痛があり、皮下出血や関節の不安定性がみられます。
1度捻挫および2度捻挫では、「RICE処置※」と呼ばれる応急処理を行います。この処置を行うことで腫れや損傷部位の拡大、内出血などを抑えることができます。3度捻挫ではRICE処置を行い、さらに2~3週間固定することがあります。基本的には手術を行わない保存的治療が選択されますが、不安定性が残存する場合は手術が検討されます。
Rest(安静):まず運動を中止して安静を保つようにします。むやみに患部を動かさないようにテーピングなどで患部を固定します。
Ice(冷却):氷を入れたビニール袋やアイスバックなどをタオルなどで包み、患部を冷却します。
Compression(圧迫):患部に弾性包帯やテーピングなどを巻いて圧迫ぎみに固定し、腫れや内出血を最小限に抑えます。固定が強すぎると血流障害や神経障害を起こすため、しびれや皮膚・爪の色(青白くないか)を確認しながら行います。
Elevation(挙上):クッションなどを使って、患部を心臓より高い位置に保ちます。これにより内出血による腫れを防ぐことができます。
捻挫をしたときには、速やかにRICE処置を行い、医療機関で適切な検査や治療を受けることが大切です。
扁平足だけでは症状はありませんが、変形が進むと、つま先立ちがしにくくなり、さらに進行すれば足が硬くなって歩行が障害されます。年齢による“後脛骨筋”腱の変性や体重の負荷によって、効率よく体重を支えるための足のアーチが低下することで生じます。アーチを支える足指の筋の強化・ストレッチや、アーチサポートの足底板を使用しアーチを上げることにより、疼痛は緩和されます。
足の裏にある足底腱膜(足底筋膜)に炎症が生じる状態を指します。足底腱膜は、かかとから足の指にかけて伸びる厚い靭帯のような組織で、歩いたり走ったりする際に足のアーチを支える役割を果たしています。足のかかと付近が最も痛むことが多いですが、足の裏全体や足の指の付け根あたりにも痛みが感じられることがあります。治療方法としては、鎮痛剤等の薬物治療や理学療法、足底板・インソールの作成、衝撃波治療などあります。
外反母趾とは、足の親指(母趾:ぼし)の付け根が隣の指(第2趾:人差し指)側に屈曲し、母趾の関節が足の内側に突出した状態をいいます。親指が隣の指に向かって20度以上曲がっているものを外反母趾とすることが一般的です。靴との摩擦で突出した部分に腫れや強い痛みが生じるため、靴を履いた歩行に支障を来します。進行すると足裏の第2趾の付け根付近にタコができることがあります。女性に多くみられる疾患です。
原因としてはハイヒールなどの先の細い靴やかかとの高い靴の影響が最も考えられます。関節リウマチの合併症で生じたり、加齢による筋力の低下などによって足のアーチ構造が崩れたりすることも原因になります。また、遺伝的な要因として、足の形や足指間の靭帯・筋肉の緩み(弱さ)による軟部組織のアンバランスなどが考えられます。
治療には保存的治療と手術による根治治療がありますが、多くの場合、保存的治療が選択されます。保存的治療では、足先が細く、ヒールの高い靴を避け、関節の突出部分がこすれない幅広の靴を選ぶといった靴の指導、親指を支えている母趾外転筋という筋肉を鍛える体操や関節を柔らかくするストレッチなどを行います。また、外反母趾を矯正するための装具や足のアーチ構造を守るための足底板などを用いることもあります。
保存的治療を行っても痛みが取れない場合や、変形が改善せず歩行障害を生じている場合には手術による根本的な治療が検討されます。一般的に行われる手術では、母趾のつけ根にある中足骨(ちゅうそつこつ)を切って関節の突出を矯正します。
アキレス腱は、足首の後面にある人体の中で最も太い腱で、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつないでいます。アキレス腱断裂とは、その一部(部分断裂)またはすべて(完全断裂)が切れた状態のことです。30~40歳代が受傷の好発年齢ですが、10代から高齢者まで幅広い年齢で起こる可能性があります。テニス、野球、サッカー、バレーボールなどのスポーツ活動中に、踏み込み、ダッシュ、ジャンプ、ターンといった動作で、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋:かたいさんとうきん)が急激に収縮して、アキレス腱に強力な牽引力がかかったり、着地動作などで急に筋肉が伸びたりしたときに断裂が起こります。階段を踏み外したときなど、スポーツ以外の日常動作でも起こることもあります。断裂は、腱の退行性変性(いわゆる老化現象)が基盤にあるとも考えられており、中高年のスポーツ愛好家に受傷が多いという特徴があります。
受傷時には、後ろから「蹴られた」「バットで殴られた」「ボールをぶつけられた」といった衝撃を感じることが多く、「破裂したような音がした」など断裂の音を自覚することもあります。受傷直後は痛みのため受傷肢に体重をかけることができず、転倒したり、しゃがみ込んだりしますが、少し時間がたつと痛みが強くない場合は歩行することができます。歩行が可能な場合でも、ふくらはぎの筋肉がうまく作用しないため、つま先立ちができなくなるのが特徴です。
アキレス腱断裂は、身体所見から比較的容易に診断することができます。アキレス腱部に皮下の陥凹(へこみ)や圧痛がみられます。また、うつ伏せの状態で膝を直角に曲げてふくらはぎを強くつまむと、正常の場合、足関節は足の裏の方向に折曲がりますが(底屈)、アキレス腱が断裂するとこの反応がみられなくなります。多くの場合、通常のX線(レントゲン)検査では異常を認めません。
アキレス腱断裂の治療には、ギプスや装具を用いて治療する保存的治療と、断裂したアキレス腱を直接縫合する手術治療があります。
尿酸の結晶が関節に沈着することで起こり、足の親指の付け根に激しい痛みが生じることが特徴です。足根骨、足関節、膝関節、手関節、肩関節などにも痛みが生じることもありますが、発作が起きるのは一度に1カ所だけで、複数起きることはあまりありません。痛風の治療法としては薬物療法と生活習慣の改善がメインとなります。生活習慣の改善としては、過食を控えプリン体を多く含む食品(肉や魚の内臓や干物、エビ)やアルコールを控えます。
尿酸降下薬等を内服し、尿酸値を正常値に維持することが大事になります。
TOP